米ペンシルベニア州バトラーで7月13日、トランプ前大統領が選挙集会中に銃撃されました。容疑者のトーマス・マシュー・クルックス(20)は会場から120~150メートルほど離れた建物の屋根から銃撃したとされています。トランプ氏は右耳を負傷し、集会に参加していた1人が死亡、2人が負傷しました。クルックスは銃撃後にシークレットサービス(大統領警護隊)によって射殺されました。
この事件ついては、米国下院にすぐさま調査機関・バイパーティサン〔民主・共和両政党合同の〕タスクフォーが設置されました。ここに掲載しているのは、ルイジアナ州選出の共和党議員クレイ・ヒギンズ氏(Glen Clay Higgins, 1961-, ルイジアナ州選出の共和党下院議員)が、マイク・ケリー議長に提出した予備調査報告書(2024/8/12 提出)です。進行中の自身の調査について、初期の調査結果を概説し、調査の進捗状況を報告する内容となっています。
いまだに不可解なところおおいこの事件ーー気になるところを要約してみました。
① USSS(合衆国セキュリティ・サービス)は事件当日(7/13)以前に、トランプ氏を含む前大統領に対してカウンタースナイパーチームを配置したことはなかった。断定するにはさらなる調査が必要であるが、USSSのカウンタースナイパーチームも、ESU(緊急サービス部隊)指揮部に対して、このチームがこれまで前大統領のイベントに配備されたことはなく、他のチームで配備されたところがあるという話も聞いたことがないと明言していたという。
② USSSは、バトラー郡の戦術指揮部が用意していた無線機を受け取っていない。無線通信は、広範囲に及ぶ事前計画の中で適切に手配されていた。前日(7/12)、バトラー郡ESU指揮官は、翌朝11時前にバトラーフェアグラウンドに配置されたESU指揮ポストRVで、割り当てられた無線機を受け取るようにUSSSカウンタースナイパーチームに個人的にリマインドしたが、受け取りは実行されなかった。
③ FBIはその晩のうちに、第一対応者(First Responders)を全員、帰宅させている。
④ FBIは事件現場をわずか3日で解放した。事件関係者の反応は驚きから失望、疑いまでさまざまである。FBIは、事件現場の解放が、後の議会による調査に障害となることを知らないはずはない。
⑤ FBIは現場から生物学的証拠を洗浄処理している。これにはまったく前例がない。警察は決してそんなことはしない。
⑥ 事件当日から10日後には、すでにFBIはクルックス(狙撃犯)の遺体の引き取り許可を与えていた。クルックスの遺体は、7月23日に火葬されているが、8月5日(月)まで、群検視官、警察、保安官を含め、だれもこのことを知らなかった。バトラー群検視官によれば、確かに遺体についての法的権限は検視官が有しているが、FBIから特別な許可がなければ、火葬や埋葬のため家族に遺体を引き渡すことなどなかったという。
⑦ 検視官の報告書と死体解剖報告書は、8月5日(月)で期限を1週間オーバーしてなお「未定出」のままである。また、遺体が存在せず、事件が現状保存されず、生物学的証拠が洗浄処理されてしまっているとあっては、報告書の正確さについて検証しようがない。これら、FBIのこの行動は後の調査の妨害としか言いようがない。クルックスが火葬された日(7/23)に、国土安全保障委員会と監視委員会はすでに事件当日に対する管轄の調査を開始しており、ジョンソン下院議長はすでに公式な調査機関を結成すると発表していた。なぜFBIは遺体の引き取りを家族に許可したのであろうか。
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