マイク・ベンツ 民主主義という検閲

センサーシップ ミーム
Steve BuissinneによるPixabayからの画像

~~ マイク・ベンツ ~~

マイク・ベンツ(Mike Benz)は、財団「フォー・フリーダム・オンライン」のディレクターです。彼は元国務省職員であり、国際的な通信および情報技術に関するアメリカの外交政策の策定や交渉に関する責任を担っていました。

以下は、タッカー・カールソンのインタビュー(2024/02/17 )の抜粋です。米国政府がいかに言論統制のターゲットを国内のトランプ支持派に代表される伝統保守の人びとに向けるようになったのかを、元政府職員の立場から、ほんとんど内部告発のような語り口で、鋭く解説しています。

47:05 私がいま説明しているのは、本質的には軍事支配です。つまり、検閲産業の台頭によって、民主主義の考えそのものが完全に逆転してしまったのです。民主主義は、統治される側の人々の同意に基づいているというところから、統治の正当性を引き出しています。

47:25 人々の同意によって成り立っている以上、統治者による支配ではありません。なぜなら、政府は投票で選ばれた人によるもので、私たちの意志の表れだからです。しかし、2016年の(ドナルド・トランプが大統領に選出された)選挙や(イギリスで2016年に国民投票が行われ2020年12月にEUから完全離脱した)ブレグジット、その他2016年のフィリピンの選挙などのようなソーシャルメディアを介した選挙において、国務省が望んでいた方向とは違う結果が出てしまったために、全てが逆転し始めたのです。

47:47  インターネット上の自由な言論の脅威に対処するため、民主主義社会の基盤とされてきたものを完全に覆さなくてはならなくなったのです。民主主義を「有権者の意志」ではなく「神聖なる民主主義の機関」を重んじるものへと再定義しようということになりました。

48:08  では「民主主義の機関」とは何か。「それは我われのことだ」と人びとは考えました。軍隊、NATO、IMF、世界銀行、主流メディア、NGOなどです。NGOの多くは国務省や情報機関から資金提供を受けていますから。

48:24  要するに、エリート層の機関です。これらの機関は国内のポピュリズムの台頭によって脅威にさらされていたため、エリートたちは自分たちのやっている合意形成こそが民主主義だと再定義したのです。民主主義を有権者の意志ではなく「民主主義の機関の強さ」を重視するものと考えるなら、結果的に、民主主義とは民主主義機関内部での合意形成の構造であるということになります。

48:53  エリートの視点からすれば、それには多大な労力が必要です。例えば、アトランティック・カウンシル(大西洋評議会、国際問題のためのアメリカ合衆国のシンクタンク)はその典型です。これは、地域の石油・ガス産業、JPモルガンやブラックロックなどの金融機関、NGO、メディアなどが合意に達するための大きな調整メカニズムの一つであり、そのプロセスには多くの時間と交渉が必要です。エリートたちにとっては、これこそが民主主義なのです。NGOがブラックロックやウォールストリート・ジャーナルと合意するのを助けたり、コミュニティや活動家グループが特定のイニシアティブに賛同するのを調整したりすることなのです。彼らにとっては、これこそが困難な票集めのプロセスです。

49:38  ですから、一部のポピュリストグループが、NATOの軍幹部によって慎重に構築された合意などおかまいなしに、TikTokで人気のトラック運転手を支持するといった場合、エリートたちの視点では、それこそが民主主義への攻撃ということになったのです。

49:58  これが、彼らが熱心に民主主義のブランディングを行っている背景です。もちろん「民主主義」は体制変更のための魔法の合言葉でもあります。「民主主義」という言葉を使えば、社会全体を巻き込んでカラー革命(グルジア(ジョージア )のバラ革命(2003年)、ウクライナのオレンジ革命(2004年)、キルギスのチューリップ革命(2005年))のような形で、内側から民主的に選ばれた政府を倒す取り組みを正当化できるのです。

50:18  ウクライナでもそうでした。ビクトル・ヤヌコビッチは、ウクライナ国民によって民主的に選ばれました。彼のことを好きか嫌いかは別として、我われは実際にカラー革命によって彼を追い出してしまいました。

50:30  (2021年)1月6日に起きたこと(合衆国議会議事堂襲撃事件)にも似ています。ヤヌコビッチを権力から追い出したのです。国務省は右派の暴徒に資金援助し、50億ドルもの市民社会の資金をつぎ込んで民主的に選ばれた政府を民主主義の名の下に倒してしまいました。そして、この特殊な技術は本国へと持ち込まれ、もしかすると今後も、ここ米国内に根付くことになるかもしれないのです。

50:53  これによって、アメリカの統治の性質が根本的に変わってしまいました。ソーシャルメディアで一つの小さな声が人気を集めるという脅威が存在する限り、この状況が続くでしょう。

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